[鼎談]己を知る、強みを知る、役割を知る、目的を知る―[古野俊幸#6]

古野氏との対談が架橋に差し掛かった頃、そばで対談を聞いていた前田徹也(健康人事委員会)が参加し、対談から鼎談へ。熱いぜ!ミドルマネジメントの番外編をお楽しみください。
 

古野俊幸さんのプロフィール
株式会社ヒューマンロジック研究所代表取締役
関西大学経済学部卒。新聞社、出版・教育会社を経て、FFS理論を活用した最適組織支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを1994年に設立。組織・人材活性コンサルティング業務に従事。現在に至る。これまで500社以上の組織・人材の活性化支援を実施してきた日本国内におけるチームビルディングの第一人者。組織人事監査協会理事、人材育成学会会員、NPOプロカウンセリング協会理事、筑波大学アメリカンフットボール部組織・メンタルコーチも務める。
主な著作:「組織潜在力」(プレジデント社)、「入門チーム・ビルディング」(PHPビジネス新書)、「適正配置と組織の最適編成マニュアル」(アーバンプロデュース刊)、「入門チームマネジメント」(PHP研究所)、「セルフコーチング」(PHP研究所)、「組織を変える!社員を変える!組織が変わる!」(中経出版)(ともに共著)など

「熱さ」の定義をどこにするか

前田
古野さんに2つご質問があります。今回この企画をお願いした時に「もしかして熱くないミドルマネジメントになるかもしれないですけれど」っておっしゃっておられて。ぼくはそれを聞いて「それでもいい」と思っていたんですね。

古野
はい。

前田
なぜかというと、古野さんからみた”熱くないミドルマネジメントの特性、個性“を知りたいなと思ったからなんです。その視点が知りたかったんですね。で、もう1つの質問はミドルマネジメントの人たちが経営層の人たちとうまくコミュニケーションしている場合の共通特性を教えてください、ってことなんです。

前田徹也

古野
まずは「熱さ」の定義をどこにするかじゃないですか。例えばいつもカッカしてパフォーマンス的に頭に血をのぼらせて話しまくる人がいますよね、それも熱さですよ。それから論理立ててシビアなところを突いていく人、それもとらえようによっては熱さですよね。

宮嶋
人によって想像しているイメージは全然違いますよね。

古野
うん。今の世の中的に支持されているのは後者ですね。感情的にならず非常に冷静沈着で、シビアなところを突いて来る、アナリティクス思考。そういう人はカッコいいし好まれるでしょうね。なによりもスマートな印象がある。そういう人の方が周囲はついていきやすいでしょうね。感情的な面が前面に出てくる、やや体育会的な人、義理人情系リーダーとスマートなリーダーの違いはあるかもしれない。

前田
いままでの熱いと思われるイメージ像が変化しているんですね。

古野
そうです。ただ情熱がほとばしるようなプレゼンをすることはカッコ悪いのか?という疑問はあります。というのも、パフォーマンスとして計算したうえでそういうこともできないと、人はついていかない面があります。自分は冷静でもいいけれど、オーディエンスを動かす時ってそういう熱量みたいなものが必要になるじゃないですか。カッコ悪いかどうかではなく、「今はそうした方がいい」と割り切ってできる人。そういう人が求められているんじゃないかな、と思います。

前田
マネジメントやリーダーにもとめる像って時代に応じて変化しますしね。
 

ロジックがない共感は、コンセンサスを得ることが難しい

古野
2つ目の質問でいうと、大手企業のトップの人にたまに聞くのですけれども、まず彼ら自身は出る杭を望んでいます。でもその人が単なる文句いい屋でしかないのなら、肩入れしたように思われてしまう。組織ですからラインというものがどうしてもあります。直接モノを申したいけれども組織だと、ライン上に部長がいたり秘書室がいたりします。そこをすっとばして経営トップに気に入られると、えこひいきになる。だから筋は通せということですね。
 
古野俊幸

前田
ラインを飛ばしてしまうなら、はじめからライン必要ないじゃないかとなりますものね。

古野
そうそう。で、正しいと思うことを上に言っても上が塞いでしまって、実は言えませんでしたという愚痴を聞きますよね(笑)それは当たり前の話なんです。だって彼らも彼らなりの最適化を考えているんですもの。それでくじけずに筋を通して、逆に巻き込めばいいじゃないか。だからいい意味で、秘書に気に入られるとかの作戦も必要ですよね。社長秘書は攻略すべき一番のターゲットですから。

宮嶋
自分の意見を超える意見じゃないと取り上げにくいですからね。

古野
ミドルマネージャーで現場を背負っているという自負があれば、社長に直談判しにいけばいい。ただ筋を通さないと、組織としては動けないんです。社長も話を聞けないですよ。出る杭は敵が多いかもしれないけれども、それはちゃんと筋を通さない、通すことを嫌がる自分のせいだったりもするんです。

さっきのパフォーマンスの話しじゃないですけれど、想いと、肉付けのためにロジックが必要なんです。想いだけなら擦り合わせは容易です。そして現場はこうです、と。困っているからこれをやらせてほしい、と。その背景にはこういうファクトとデータがあって「これをやればこうなるはずだ」という結果予測が必要ですよね。

宮嶋
そのとおりですね。ロジックがないと共感を得ても、コンセンサスを得ることは難しいですものね。

古野
それにトップはそうは言っても現場のことはディテールまでは知らない。想いが一致して”現場はそうか”と理解してもらえるなら”じゃあやれ”となる。もしくは予算をつけてくれるというストーリーが描けます。ただし条件があるんです。それがちゃんと筋を通せば、ということです。オマエの部署だけエコひいきはできないから、きちんと全体最適のなかでやりなさいということです。そういうことは必要だと思います。

前田
自分が逆の立場だったらそういう条件はつきますよね。だって他の人の立場がなくなりますもの。

古野
だからやっぱり優秀だなぁと思う人は、政治的動きもやれるんですよ。政治的な動きを嫌ってやらない人もいるけれども、本当にやりたければコネも使えという話です。

人脈ってのはその人の財産ですよ。使えるものは使えばいい。

宮嶋
そうですよね。なるほどなぁ。ミドルの定義にもよるかもしれないですけれども、ぼくより下世代の人たちは比較的政治的な動きは汚いって思う人が多いかもしれないですね。

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古野
それもね、何をもってキレイか汚いかって話ですよ。裏金、賄賂をもらうわけでもなく、本来達成すべきことを達成するために人脈を使っているだけじゃないですか。その人脈ってのはその人の財産ですよ。使えるものは使うんです。これ、営業の世界では当たり前の話じゃないですか。ぼくがいた業界では夜討ち朝駆けっていうんですけど(笑)誰かのルートを使って、話を聞きたい人に会いにいくとか。

前田
誰を知っているかをググっとフォーカスしていく。その繋がりがソーシャルキャピタルですから。

宮嶋
そうですよね。

古野
コンサルタントはまさに人脈が財産だといいますからね。一見スマートに思われている戦略系コンサルタントの人たちの営業活動は、めちゃくちゃベタベタで、まずはコネクションから入りますから。
どうしてコンサルティング会社は東大卒を多く採用するかというと、全部OBで企業経営者に繋がるからですよ。そんなの嫌ですという人は採用しないんですよ。親のコネも使えるなら使いますって人を採用する。だって財産ですから。いいことしようとして関係者みんな喜んでくれるんですから、自信あればあるほどコネクションを使うようになるはずなんです。つまり後ろめたければ使えないのがコネクションです。

前田
なるほど。ところでミドルマネジメントの話に戻すと“己を知る、強みを知る、役割を知る、目的を知る”といった機会というのはこれから重要になってくるっていうことですよね。