[対談]-コミュニケーションの変化で組織活性化を ― [大條充能氏#4]

熱いぜ!ミドルマネジメント対談企画。第1回目めのゲストは組織活性化支援を行っている株式会社ゼロイン代表取締役会長兼CEOの大條充能氏をお招きしました。書き起こしVol.4は「コミュニケーションの変化」が組織をどう変えていくのかについて事例をあげていただきました。コミュニケーションに悩むミドルマネジメント層の方必読です。

熱いぜ!ミドルマネジメントとはみどり会の冊子企画として生まれた”ミドルマネジメントへエールを送る”をテーマとして毎月開催される対談企画。こちらでは対談の様子を全文テキスト起こしで掲載しています。(取材、撮影:平世将夫)
大條充能さんのプロフィール
株式会社ゼロイン代表取締役会長兼CEO 
1984年リクルート入社。総務部にて社員向け全社イベント企画を担当。リクルートのお祭り男として稀有の才能を発揮し注目を集める。91年、リクルート社内報『かもめ』で人生相談コラムを開始。リクルートナンバーワン有名人の座を不動のものとする。1999年、企業の節目に社員総会などのコミュニケーション施策によってインナーブランディングをプロデュースする会社、株式会社ゼロインを設立、代表取締役社長に就任。
著書「熱いぜ!!!悩まない人生」「食いしばるために、奥歯はあるんだぜ!」「まだお前は始まったばかりだぜ!」、ブログ「熱いぜ!」等。
[対談Vol.1]熱いぜ!ミドルマネジメント
[対談Vol.2]ダイバーシティとは理解すること
[対談Vol.3]風通しの良い職場環境
[対談Vol.4]コミュニケーションの変化で組織活性化を

大條
大事ですね。例えばですね。当社の宣伝も入りますが(笑)、当社のクライアントで脱毛というエステ業態で5店舗運営をされている会社の社長さんから相談を受けまして。Aさんは月に500万円売上がある。Bさんは月に50万円売上がある。その他の方の売上も含めて平均を算出すると一人当たり月200万円の売上平均になると。平均値が300万円になれば、全体売上があがりますよね。そのためにはどこをどうしたらいいだろうか?という相談がありました。

宮嶋
具体的な事例で想像しやすいですね。

このご相談に対して当社のプランナーが提案したのは、まずは全店長を呼んでロールモデルを明確にしましょうという提案です。平均で月500万円を売り上げる人はどうして売れているのかという要因を明確にし、他の人との差異を把握した上で間違ったコミュニケーションが存在しているのだとすれば、その部分を改善しようと試みたのです。

宮嶋
システムではなく、人と人のコミュニケーションギャップに着目されたわけですね。

大條
結論でいうと、ポイントは「営業していないこと」でした。売上実績をあげている人は決してエステというサービスや技術で売上を伸ばしているのではなくて、自社が取り扱っている様々な化粧品みたいなものをお客様に提供していたんです。その結果売上があがっている。 じゃあどうしてそういうことができるのか、といえば「雑談がうまくて、相手の価値観にはいってコミュニケーションが出来ることで、結果としてお客様との信頼関係ができている」信頼関係の結果といて商品が売れているんですね。

宮嶋
会話の中で「コレ、ちょっといいですよ」何て言うと「じゃあ使ってみようかな」となるという流れなのですね。「どうやっているか」に着目して「なぜできたのか」を再現することを試みているのですね。

大條
そうでしたね。そういう要因が明らかになったんです。やり方を間違えてと売ろう売ろう、販売しようなんて思うと空回りするんですよね。押しつけることになってしまいますから。その会社は当社とおつき合いをいただいて3年で15店舗まで拡大して業績が右肩上がりになりました。

宮嶋
そんなに変わりますか!きっと他のメンバーの方との共有やフィードバックといった点もきっとうまくいくような仕組みができたのでしょうね

宮嶋邦彦

大條
もう1つはカフェレストランを運営されている株式会社サイゼリアさん。サイゼリアさんでマネージャー、店長教育の研修の映像制作を当社で担当させていただきました。制作時に一番売れているのは狛江店でした。そこで”ロールモデルはここだ!”となりまして、狛江店の店長さんにお願いをしまして一日密着映像をつくったのです。そこでもやはりいくつかポイントがありました。

宮嶋
サービス業は対面のコミュニケーションが重要になりますものね。

大條
まず繁盛店の店長は店舗スタッフ、例えばパートさんとのコミュニケーションをメモでしっかりとりながら、週に1回どんなに多忙でもパートさんを集めてコミュニケーションをしている。「今週の流れでこんなことがありましたね」みたいにね。あとは、忙しい時はパートさんと一緒に店長が背中をみせて率先しているんです。店長がしっかりと働いている背中をみせることが出来ているんです。

宮嶋
あ、それはとても大事なことかもしれない。

大條
また伝言板みたいなものも職場にあります。『今週はいつ頃がレジのピークになりそうです。みなさんここはこういうことに気をつけてください』という風に細かく注意事項等が職場で共有されています。スタッフ全員、シフトで出勤してきたときも注意事項を読んで動くことが習慣化されていました。これは全店に導入されたりしましたね。つまり、業績があがっているところは、明確にあがる理由があるんです。そこを把握して開示して映像で見える化したり、研修で明確にして共有していくことで業績を改善していく。そういうことを年間通じてやっていくことで、非常に効果がでると思います。

大條充能

宮嶋
なるほど。見える化して共有して自分たちも実行するということですね。逆説的ですが「負けに不思議の負けなし」に通じるような気もします。

大條
例えば、リクルートのゼクシー。ゼクシーという媒体誌が創刊以来、前年比20%アップくらいのペースでマーケットをつくってきたという歴史のなかで、ともすると営業担当者は自分の役割はは「広告枠の販売」だと勘違いしてしまうことがあります。自分の仕事はブライダル業界から新しい広告出稿する事業主さんを獲得して、自社の売上をあげることだと勘違いしてしまうんです。そういう仕事の仕方を2~3年をすると営業担当者はどうなると思います?

宮嶋
数字至上主義に染まってしまう…ですか?

大條
そう思いますよね。でもじつは逆でして。みんな疲弊していくんですよ。もうどこまで売上倍々ゲームを続ければいいんだろうって自問自答し始めるんですよね。

宮嶋
なるほど。疲弊するんだ。

大條
そういう時に、リクルートという組織がよく伝えることは「ゼクシーを通じて結婚した人が、その後1年後、2年後どんな生活をしているのか」ということをカスタマーにインタビューしようじゃないか、と。ゼクシーを通して結婚して、いまはこんな幸せな家庭生活を送っています、ということを自社の営業担当者にもきちんとみせるのです。つまり営業っていうの仕事は広告を獲得することじゃない、仕事を通して幸せなカスタマーを一人でも多く増やすことが自分たちの目指すべきミッションなんだ、という事業を始めた出発点にきちんと戻すんです。こうしたことを改めて理解することで、営業担当者はまた日々の業務に頑張ることができるんですよね。

宮嶋
なるほど。数字だけでは継続できないといういい事例ですね

大條
仕事で動機づけるということと、売れている人には売れている人のやり方があるということ。こうしたことがミックスされてマネジメントが効いたときに人は頑張れるわけです。しかるべきメッセージをきちんと適切な形で、適切なタイミングで届ける、という仕掛けも必要だと経営陣もマネジメント層も、そして人事部門も理解した方がよいと思います。

宮嶋
きちんと時機を観てる、何を話すかを常に考えているという貴重なお話ですね。では最後に、応援メッセージを頂けますか。

大條
先日大前研一さんの勉強会に出席しまして「消え行く産業」というタイトルの講演を拝聴しました。すべての産業が消え行く可能性があることを改めて目の当たりにしました。例えば自動車業界でいえば、自動運転システムという技術がありますが、自動車メーカーが法規制を守らなければならないという視点で開発を行うと、高速道路はどうする、車間距離何メートルで調整する、ときっちり遵守すると現実との乖離がでてしまいます。法的なこととは別の感情面として、誰もそういうような運転で乗りたくないとなりかねませんよね。

でも例えばGoogleは現在全く違うアプローチで車をつくっています。AからBに移動するために法規制を無視して、とにかくゴルフのカートのような仕組みでAからBに届くようなものを設計している。これは発想だとか思想が根本的に違うわけです。また電話業界も通信キャリアとLINEの無料通話はどっちが主流になるのかという話があります。あるいはダウンロードして音楽を聞くものと、定額によるストリーミング配信で聞きたいものを聞くというスタイルの選択が可能になってきました。至るところでビジネスモデルが変化しているわけです。

宮嶋
はい。

大條
常々言われているようにどんどんグローバル化が進んで世界的な標準化がすすむと、いままで我々が作ってきた産業が、従来とはまったく異なる違う角度から塗り替えられていくということが現実的に起こっています。外部環境はものすごく激しい変化があるんだ、というのをまずは理解をしなければならないですよね。

その変化をどう社内に加工して伝え、自分たちはどこに向うのか、というビジョンを示していくということが、今まで以上に重要になってきていると思います。社員がイキイキとワクワクして働けるということを前提として、更にいまダイバーシティーも大事だと言われています。そして企業は生き残るということが一番大事なことですよね。

宮嶋
そうですね。持続していくことが前提ですね。

大條
いまはその継続していくということに対する難易度がすごくあがっているということを理解し、会社がどういう方向でこの荒波に臨もうとしているのかということを、これは経営の責任だけじゃないんですよね。ミドルマネジメント層の方々も含めてみんなが我が事として捉えて、会社を成功に導いていくんだ、ということが問われているのだと思います。

ハードルはとてつもなく高いですが、ここを超えないとどの日本企業も沈没する可能性すらある。そういうところに立たされているというのは、むしろやりがいと捉えてやっていくべきじゃないですかねぇ。

宮嶋
一見逆境のように見えるけど、それを乗り越えなきゃ何も始まりませんしね。

大條
「海賊と呼ばれた男」のように、規制が撤廃されて、フロンティアとして自分はこうだ!と示していくことができるチャンスでもあります。みどり会さんの会員企業さんには日本を代表する企業が揃っていますので、是非グローバル化とか時代の垣根を越えた新しい産業を起こしていくようなそんな企業内起業のような、会社の中から新しい産業が産まれてくるような、前向きな会社にみなさんになって頂きたいと願っています。

大條充能

宮嶋
いや、まさに熱いぜ!というお話をお伺いさせていただきました。本日はありがとうございました。

大條
ありがとうございました。