事業基盤と組織基盤を同時につくる~戦略と実務を同時に考える立場を自覚【会員企業対談記事#2-株式会社シーフ 】

企業紹介とともに、HR担当の方とCLUB-CHRO前田徹也が対談する企画記事。第2回目は「“エンターテイメント”の追求が、全てにおいての原動力となる」を理念に掲げて飲食店経営やウェブ企画などを進めている株式会社C-FU(シーフ)の須藤さんにお話を伺います。
“楽しむ”ことを中核に、次なる成長に向けた新規事業開発にも注力する同社では、組織づくりと事業づくりが同時に進みます。戦略策定から実務まで第一線で活躍する須藤さんがどのようなことに直面しているのか、詳しく伺いました。

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須藤優香 株式会社シーフ 

(モデレーター)
前田徹也 株式会社ワークスエンターテイメント 代表取締役
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同時並行で複数の課題を扱う思考が求められる

前田:担当する仕事領域と、その中で何に直面しているか、聞かせてください。

須藤:今は人事の仕事をしつつ、経営戦略や新規事業開発にも関わっています。ウェブに限定せず、デザイン一般の勉強ができるという関心があって入社したのですが、特にこの4月から、コーポレート部門の仕事中心になりました。すると経営陣との距離が近い! 30人ほどの会社なのですが、やっぱりこのポジションだからこそ社長と話す時間も増えます。

社長直下で全社的な施策を考えるというのは、勉強しながらの新たな経験ですね。同時並行で複数の課題に直面する日々です。営業をしていた時には売り上げや成果目標が定めやすかったことに比べると、一つだけをクリアしたらよいわけではない領域だと実感しています。経営や人事的課題は関連事象も多く、一から整えようとしている当社の場合は、何から着手しようかと迷ってしまうこともありますね。
 
前田:最近だとどういうことに着手したのでしょうか。

須藤:ビジョン・バリューをもう一回定めていくことや人事制度の整えなど、基本的なところから始めています。スピード感のある組織、挑戦を奨励する風土にしたいとトップが常々口にしているので、それを実現していくことが私のミッションですね。
須藤氏"
人事業務に本格的に携わってまだ数カ月なのですが、かなり上司と議論しながら進めてきました。上司も他業務と兼ねていて人事の専門ではないんですね。だからこそ徹底的に議論して、いろんな角度から考えて、しっかりと決めようという気がお互いあるのかもしれません。社長とも密度濃くコミュニケーションはとっていて、そんな中である程度考える力は培われた気がします。

ただ実務としては運用の形にのせていくことが重要だと認識していて。各事業部長と連携が必要だし、社内のコミュニケーション設計も必要だし、私自身の働きかけ方ひとつで事業部の受け止めも変わるので、プレッシャーもやりがいも感じています。

前田:たぶん仕事には妥協せず向き合っていらっしゃるんですよね。だから考えなきゃいけないことの多さと大きさを実感されるんだと思います。

須藤:一つ決めているのは、社長とのミーティングでは必ずYesだけでは終わらせないことなんです。組織全体を見て判断できる力を高めたいと思っていたので、社長との議論は貴重な機会です。 意見があれば臆さず言う、問われたときに提案で返すといったことをマイルールにしています。 といっても最近は回数が多くて、毎回できているか自信はないんですが(笑)。

意見を言えない時ってロジックや根拠が薄くて考え方がぶれてしまうときだと思うので、一つ一つしっかり考えて、納得する論をもって臨むことが何にせよ大事だと思っています。結構時間もあわただしく過ぎていくので、ちゃんと振り返らないとせっかく考えたことも流れてしまうので、内省の時間もとるようになりました。

新規事業プロジェクトの方は、まさに考えるアタマがものすごく必要になってきています。本業に近い領域でやるのか否か、どんなリソースを使ってやるのか。「業界を変えたい」という社長の想いが私が当社に興味を持ったきっかけなんですね。それをどう実行できるのか。なかなか発想を広げられないジレンマもありながら進めています。

前田:新規事業の難しさは、既存事業のバリューチェーンとの距離感ですよね。連動するほうがスタートしやすいですが、あまりに近いと新規事業ではなくなる。また新しいことをやるからといって異質な人を採用したとしても、既存組織との融合が難しいといったことが、一般的に起こりがちです。
須藤氏と前田徹也

ただ事業開発と人事と両方やっているとのが須藤さんのユニークな立ち位置で。社長の想いを言語化するCHROの立場も持っているんですね。そちらの立場としては、「業界を変えたい」を具体的な言葉にして社内の浸透をはかり、そこから変化を起こす役割でもあるんです。

須藤:そうですよね。新規事業プロジェクトに限らず、本社メンバー全員が新しい領域に挑戦していくことが求められていて、その土台を整えるのがミッションだと思っています。

「自分で決める」軸ができた学生時代

前田:須藤さんのキャリアを伺いたいですね。人事の仕事はごく最近ですが、もともとどういう関心をお持ちだったのでしょうか。

須藤:就職活動の時は、成長ができる環境、スピード感を持って事業に携われる環境という軸を置いたんです。大手からベンチャーまでいろいろと見て、最終的に株式会社じげんに入りました。初めてインターンをしたのが創業間もないベンチャー企業だったのもあり、スピード感や裁量権のある環境としてベンチャーという選択肢は当初からありました。

ただその中で活躍できる人となるにはどうしようかと思い、私の場合は人より早く始めるしかないかなと内定後からインターンをはじめたんです。4年生の時にはほぼ毎日通って、入社後も含めて計4年ほど在籍しました。

前田:かなりターゲットを絞った就職活動のように見えるのですが、学生時代から軸がつくられていたのではないでしょうか。

須藤:高校から大学の間に2回、今の自分に影響する出来事があったかもしれません。一つ目は高校の時で、自分の価値観だけでは通用しないことに直面した経験です。中高とバトミントン部に所属して、上位志向、がんばり志向がとても強かったんですね。中学は周りも同じでがむしゃらにがんばったのですが、高校に入ると「楽しめればいい」志向で部活をやっている人が多い環境でした。そうすると「もっと上目指そうよ、練習がんばろうよ」という発言は浮いてしまうんです。

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当初はいかに自分の主張にみんなを引き込むかに一生懸命だったのですが、彼女たちは勉強や違うことに時間を割きたいと思っている。その差は価値観の違いなので、こちらが主張し続けても理解されないと気づきました。それで、私は私の目標に向かう別の練習機会をつくり、部活としては妥協したスタイルで続ける「折り合い」をしました。

二つ目は大学で初めて海外滞在をしたときのことです。学生団体アイセックのプログラムに応募して、セルビアに行くことになりました。日本人は一人で、語学も十分ではなく、かつ町の人は英語も話せないことも多い。そんな中である時、遠方の町から一人で家まで帰らないといけない事態になりました。本当は他の人が送ってくれるはずが、「ごめん、行けなくなった」の一言で一人になってしまい、バス停であたふたとしていました。

切符売り場の人に聞いても言葉が通じないせいか冷たくあしらわれ、バスに乗ろうと思っても制せられてしまう。実はバス停が違ったのですがそれがわからず、誰にも聞くことができず、本当に孤独を感じました。言葉の通じる日本にいたら絶対ない経験で、全部自分で判断しないと動かないということを身に染みて感じました。

前田:たぶん高校で「折り合い」をするまでは、「みんながわかってくれな」とツンツンしていたんじゃないですか(笑)。自分とは違う価値観があると気づくのは大きいですよね。そして海外エピソードのあたりで「自分で決める」ことにぶれなくなってこられたんじゃないでしょうか。

自分で納得する回答に向かうために外の場を使う

前田:社会人になってからの成長はどういった質のものでしょうか。

須藤:初めに所属したじげんでは「基礎戦闘力」が得られましたね。何であれ柔軟に対応して何かしら提案する力や、議論をロジックに基づいてしっかりする意識、あと結果を追い求める姿勢などでしょうか。まだまだと思っているのは、全体を見て判断するマネジメント思考です。
前職時代は営業や制作などで、自分の担当分野を確実に行っていくことがもちろん重要でした。組織視点を持つ機会は少なく、自分主語で考えることが多かったでしょうね。それが現在の仕事だと、組織主語で考える機会が増え、マネジメント思考を鍛えるいい訓練になっている気がします。

前田:CLUB-CHROは組織視点での話題提供が多いかもしれませんが、これまで毎回勉強会にも足を運んでいただき、どんな場としてご覧になっていますでしょうか。

須藤:人事は答えがある仕事ではないので、人と議論をしたり、同じ思いを持っている人と交流したりするのが、自分で納得する回答にたどりつくために一番効率な道筋だと思うんです。CLUB-CHROの勉強会はその場として活用させてもらっていますね。

さらに経営者がゲストで来てくれるのも大きくて。経営者から見て必要なものは何なのかという視点で振り返ることもできるし、社長に提言すべきことに気づいて背中を押してもらうような場でもあるし、自分の考え方を客観的に振り返る場としても活用させてもらっています。

前田:ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。