現場視点から経営視点まで、複合的な視野へと変化するまで【会員企業対談記事#1-株式会社GameWith 】

企業紹介とともに、HR担当の方と前田が対談する企画の第一弾記事。第1回目は月間9億PVもの規模のメディアを運営する株式会社GameWithの酒匂比呂美さんにご登場いただきました。株式会社GameWithとは、どんな企業風土の会社なのか、どんな課題に対して取り組んでいらっしゃるか。そしてCHROの役割をどのように考えていらっしゃるのかについてお話頂きました。是非お読みください。

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酒匂比呂美 株式会社GameWith

(モデレーター)
前田徹也 株式会社ワークスエンターテイメント 代表取締役
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会社紹介~ゲームの攻略メディアからゲーム業界のプラットフォームへ

前田: まさに成長期企業の代表の会社でいらっしゃいますが、会社が今どのようなステージにあるか、事業の特徴はどのような点にあるか、聞かせてください。

酒匂: もともと、ゲームの攻略情報を掲載していたメディアだったのですが、最近一気にゲームユーザーのためのプラットフォームとして進化させています。最近だと3月にSNSをリリースしました。ゲームユーザー同士がこのSNS上で情報交換したり、コメントを残せたりするサービスですが、コミュニティにも参加できる場なんですね。ゲームってプレイをしているとランクが上がってうれしいこともあるし、つまずくこともありますが、一緒にやっている人とわかちあえると続くんですね。まさにこのコミュニティにいくと、同じタイミングで楽しんでいる人と出会うことができる。そういう場としても盛り上がりつつあります。

前田: SNSも構想があってからリリースまで地道に積み上げられてきたのですね?

酒匂: そうなんです。私たちの理念は「ゲームをより楽しめる世界を創ること」。4年前の創業時からSNSも構想に入っていましたし、今後もこの理念達成するべく愚直にまい進していきます。創業当時から一貫して変わらないのは、自分たち自身でつくることにこだわり、そしてつくるものに愛情を持っていることだと思います。最初の事業、スマホゲームの「攻略」情報メディアも、各メンバーが実際にプレイして本当に使える情報をアウトプットして、少しずつトラフィックが大きくなって、その上に新しいものが積みあがって今に至っているような流れですね。

酒匂氏と前田

また、新しいゲームを探している人が、いきなりダウンロードサイトにいってもたくさん並んでいてどれが自分にあうのかわからないこともありますよね。そこで、本当に自分に合ったゲームが見つかる場所にという想いを持って誕生した2つ目の事業「ゲームを探す」。中立的で客観的なレビューを提供し続けた結果、少しずつユーザーが増えていき、最近では「攻略ではなく新作ゲームを探すときに使っています」というお言葉をよくいただくようになりました。そんな人が増えてきたなかで、広告やPR記事、タイアップ企画などへと事業も拡大してきました。

近年伸びているのは動画事業です。社員が実際プレイする動画を配信しているのですが、その中で、この社員のスーパープレイが続出するのが見ていて楽しいとか、この社員の掛け合いが面白いと思う方がファンになってくれて、その動画に出ていた社員がだんだんタレント化してきました。ある時生放送で、「新しいクエストを最速でクリアします」というイベントをやったら、34,000人が同時にアクセスしてくれたんですね。こんなにも楽しんで観てくれる方がいるんだ、と我々も驚きでした。それでこの事業に力を入れようと、一気に3つのスタジオを社内につくりました。撮影も編集も出演も、すべて自社内でやっているのも特徴でしょうか。スピーディーに進められ、かつ自分たちでつくるものを大事にしていけるやり方をとっています。ちなみに今こうした社員は結構有名なYoutuberになっています。

前田:今のお話はバリューチェーンづくりという観点からも注目できますね。演繹的に、事業をしっかりとつなげて、そのなかでマネタイズ化と顧客視点でのサービス化と両方を考えていくことができるモデルのようにうつります。

「世界で戦うことを志す会社」に惹かれる

前田: まさに成長し続ける事業体のお話を伺いましたが、一方で事業が拡大する中で、事業戦略と組織戦略を同時に進めていく必要も出てくると思います。その組織戦略を担当する酒匂さん自身は、いつ頃、どういうきっかけでGameWithに入られたのでしょうか。

酒匂: 入社したのは1年ほど前です。 大学卒業後、エステティシャンとして勤務し半年後人事へ異動しました。初めて勤めた先で、現場と本部両方を経験できた事は私にとって大きな財産だったと思います。自分が現場出身だったからこそ、常に第一線に立っている現場の皆をより尊敬するようになりました。だからこそ、現場と本社のギャップにジレンマを感じたことも多々ありましたね。当時の自分なりに経営に具申してできることをやろうとがんばったあとで、一度区切りをつけました。 それで一度アメリカに語学留学をしたのですが、そこで二つ強く思ったことがあります。

酒匂氏と前田

一つは、他国出身のクラスメートたちが、みんな日本のマンガ、アニメ、ゲームを知っていて、それらと共に育ったという友人が多くいたこと。そして日本車や日本製品の品質も想像以上に高く評価されている。日本でつくられる「モノ」に改めて目が行きました。それからもう一つは、クラスメートたちはみんな積極的に発言をするし自己主張力もあるし、負けていられないと肌身で感じたことです。その後社会人に戻ろうと思った時に、たぶんこの感覚が影響したんでしょうね。世界で戦う志を持つ会社にいって、自分もその一員になりたいと思うようになりました。

はじめにエージェントからこの会社を紹介されたときは、実は自分がゲーマーではなかったので、正直合うか不安でした。でも受けに行ったときにまず初期の頃から社員のことをきちんと考えている姿勢を知り、非常に好感を持ちました。でもやっぱり決め手になったのは、この会社の志の大きさを代表の今泉から聞いた時ですね。世界で戦える企業に、となんの迷いもなく明言していた時、「探していた企業が見つかった」そんな風に思ったのを今でもよく覚えています。

現場視点から経営視点まで、複合的な視野へと変化

前田: 「つくり手を大事にする」「現場を大切にする」というのが一貫して伝わるのも、酒匂さんを引き付けたのでしょうね。入社した直後、そして半年後くらいではどのような印象に変わっていったのでしょうか。

酒匂: 入社した直後は、みんな思っていた以上に真面目で、プロ意識を持っているメンバーが多いことに感動しました。あとみんな性格がいい(笑)。その気持ちは半年後も今も変わっていません。一方、入社して数か月経つと、ベンチャーがゆえの課題、例えば経験がないからこそ定まらない判断軸、指示命令系統が不透明、などが見えてきました。また、前職の採用と比較すると、業界も違えば会社の歴史や規模も違うので当然採用手法も異なります。ですが手法を考える前に大切なのは、そもそもGameWithのこの部署のこの職種で必要な人材ってどんな人?この会社で活躍する人材とは?を具現化すること。当時は全く具現化されておらず、オーダーの通り日々手探りで業務をこなしていた記憶があります。

面接不採用になる方のフィードバックを聞いて初めて「あぁこういう人が欲しかったのか」と知る感じです。新しい取り組みをしたくても、前例がなく効果が見えないので判断しかねる、誰に承認を取るべきなのかも曖昧。でも何か始めなければ何も変わらない、こんな状態でお給料をもらいたくない!そんなフラストレーションでいっぱいでした。非常に混沌としていました。
 
それで、ちょうど入社半年後でしょうか。当時のHR担当3人で現在の人事的な課題を洗い出し経営陣に発表したのですが、結局何から着手するべきなのか、着手してもどう取り組んだらいいのか分からなくなってしまったんです。そんな状態で今度はメンバー交代が起こったりして、この頃は結構整理がつかない状態になってしまっていました。ただタイミングよくその頃にHR系のコンサルタントの支援が入ることになり、そこから一つひとつ進めていきました。混沌としていたことが一つ一つ整理されていき、また自分自身の足りない部分も客観的に指摘いただきとても勉強になりました。

前田: お話を聞いているとかなり大変さがあったと思うんですが、おそらく前職と比べて質の違う課題に向き合ったのではないでしょうか。そのなかで、ご自身が権限も責任も持ってHR施策を進めていく立場になったときに、どう整理して何をされたのか。また、たとえ計画を決めたとしても、次々日々の中で新たな課題が降ってくるなかでどうされたのか。戦略人事の最初の場面としても伺いたいのですが。

酒匂:そうですね。採用については、コンサルタントの助言をもらいながら優先順位を整理しました。それによって明確に課題点も見つけられたし、その後自分たちで進められるようにもなりましたね。
同時期にもう一つ、社員が働きやすい環境というテーマに対し、一つ施策を進めました。でもこれは反省も学びも多い経験でした。3カ月限定のキャンペーンで交流施策をやったのですが、結果的にはキャンペーンが終わったら終了したんですね。もしも効果的な施策だったら続いたのでしょうが、そうはなりませんでした。そこで一つ気づいたのは、社員目線でつくるだけではなく、経営者視点とか、施策運用の仕組みづくりとか、複合的に考える重要性ですね。

酒匂氏と前田

前田: 今回のテーマであるCHROも、経営と現場と両方の視点が必須なのではないかと思っていますが、酒匂さん自身はCHROと言われたらどのようにお考えですか?

酒匂: 何回か勉強会に伺ったときに前田さんが話していた「代表のスピーカーであり、想いを伝えていく役割」というのが一番印象に残っていますね。経営者が思っていること、考えていることがちゃんと社員に伝われば不安や変な深読みはなくなるはずで、それを担う人がいれば、経営者も安心して事業に集中することができると思うんです。

前田: 成長し続けている会社は、成長にあわせた課題が必ず出てきますよね。戦略という面と、現場のルーティングをしっかり同時に回すことに直面されると思うんです。そのときに土壌・風土づくりと組織文化づくりとの両輪がまわっていることは大事だと思っています。
組織風土は経営者や社員ひとりひとりの持つDNAそのもののような存在で、一方企業文化は、人間が手を加えることによって、業績やパフォーマンスにつなげられるものですね。風土づくりは土壌をつくるように社員に納得してもらうプロセスが必要で、一方文化づくりは施策や仕組みづくりが必要になってきますね。

酒匂:  CLUB-CHROの勉強会は学びが多いのですが、方法ではなく本質を語ってくれているからかなと思っています。方法だけだと、自社に合うような応用の仕方がわからないのですが、本質を聞くと自社にあてはめて考えやすくなるし、しかも登壇者が赤裸々に語ってくれる内容は勇気にもなりますね。さらに経営者の話が聞けるので、生身のある話、上流視点での話が聞けると感じています。 上を見させてくれる場なので今後も参加できたらと思っています。人材開発に関するテーマも是非聞いてみたいですね。

前田: ありがとうございました。