レポート「企業と社員を取り巻くストレスを考えるシンポジウム」(その1)~いいストレス、悪いストレス~

6月12日(金)に「企業と社員を取り巻くストレスを考えるシンポジウム」を丸ビルカンファレンス&ホールで開催いたしました。

  • ストレスは外的な圧力のこと
  • ストレスには肉体的ストレスと心理的ストレスがある
  • ストレスマネジメントとは、ストレスを0にすることではなく活用すること
  • 会社はメンタンルヘルスをなくしたいの?
  • 休職できて復職をスムーズにしたいの?
  • ストレスマネジメントは個人の問題ではなく、組織の課題として捉えて取り組む
  • ストレスチェック義務化は1次予防が目的
  • 未然防止はもとより、働きやすい環境を整え生産性を上げることを目指す
  • ストレスがかかるとどういう状況が起きるかを理解しておく
  • トップが変わらなければ組織はかわらない
  • (社内でも)競争させるのか、それとも共創なのか
  • 情報を出すことが、自分にとって損にならないという企業文化をつくる
  • 目の前の人を救えない会社が、どうして全体をすくえるのか
  • 戦略的に組織作りをかんがえているのか
  • 単なる健診の一環としてのストレスチェックなら意味がない
  • 非常に多岐にわたるメッセージを「ストレスチェック」という切り口で、ご来場いただいたた約50名の方々にお伝えしたシンポジウムの登壇者は2名。1人はストレス学の祖であるハンス・セリエ博士に師事し「性格とストレス」を研究後、FFS理論を提唱された小林恵智博士。もう1人は企業の産業医を経験したのち経営学修士を取得され、現在は北里大学医学部にて公衆衛生学を研究されている江口尚博士。

    FFS理論(Five Factors & Stress)
    人的投資を極力抑えつつ生産性を最大化するため、或いは有事の時に平時の力を発揮するために、組織の力を発揮するにはどうすればいいか?という課題に対して、米国国防省より委託を受けて研究実証を行い、米軍組織編制に用いられた理論。国内では大手メーカーや製薬会社、システム開発会社など数多くの企業で活用されている個人のストレス特性に着目し組織編制に反映するための理論。

     

    ストレスとは外部的な圧力

    シンポジウムは3セッション構成。1番めのセッションでは小林 惠智博士より「いいストレス、悪いストレス」と題した話でした。

    ストレス=ネガティブなものと考えられている現状に対して、そもそも「ストレスとは外的な圧力」のことであり、その外圧に対する反応が個人によって異なる。というストレス学を学んでこられFFS理論を提唱するに至った研究から、非常に多岐に渡る話をいただきました。当日語られた話のなかから、いくつかの気づきとなるポイントをご紹介いたします。

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  • 外圧、つまりストレスがなければ人間の進化は無かった
  • 適度なストレスは成長と発展を与えてくれる。
  • 問題なのは過剰なストレス、過小なストレス。
  • 外圧を受けて感じる気持ちが内圧。
  • 外圧と内圧を受けて、どう反応するか=個人の解釈。
  • 解釈に関わっているのは価値観であり、価値観とは個性
  • ストレス対策は病気の診断を行い、休職させ復帰の機会を与えると考えがち
  • 大事なのは「会社と個人は従業員はどうすればより幸せなのか」という事を追求すること
  • 例えばルートセールスに適している人と市場開拓に適している人の個性は大きく異なる
  • ルートセールス型で成功した上司と、市場開拓型の部下がチームになったと想像してみよう
  • 上司は自分の成功パターンを部下に押しつける。成功パターンの違いに目を向けない。
  • 人は自らの成功パターンを相対的なものではなく普遍的なものだと勘違いする。
  • 勘違いした結果、上司の成功体験が部下の成功には繋がる事はない。
  • そこで部下に過剰なストレスがかかる。
  • 個人がまずすべきは”自分の思考行動様式がどういう傾向性なのか”を知ること。
  • ストレスは思考行動様式に大きく関係する。ストレスと感じる事は人によって全く違う。
  • 長時間労働の問題がある。やりたくてやっている人にとって長時間労働は心地よさになる。
  • ただし、そうではない人もいるということを理解しておかなければいけない。
  • 企業がすべきことは病気になる前に、お互い助け合える組織編制を行う事。
  • 過剰ストレスを発生させない環境が重要
  • 過少ストレスもよくない。適度なストレスを発生させる
  • 組織生産性を上げる最適な組織やチーム編成を行う
  • 適切なストレスが成長の起爆剤になる。
  • 改革型に改善を要求し、改善型に改革を期待するから無理が生じる。
  • 目的と目標は違う。戦略概念と戦術概念の違いを理解しておくこと。
  • ストレチェック制度が義務になることを受けて企業は「どういう会社でいたいのか」をもっと思考して明確にする
  • 「CSR的な行動」をしたいのか、労働を「適正」にマネジメントしている会社です、とPRしたいのか
  • 会社のために、個人のためにという二元論的な思考ではない時代
  • 競争させたいのか、共創したいのか
  • ストレチェック義務化を組織戦略を考えるきっかけにする
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    小林博士のお話を聞いて

    まず重要なのは、ストレスチェックをする意義をはっきりさせること。言葉の定義や、自分たちのありたい姿を明確にし、定義をきちんとつくること。そして「目的に向かって行動を始めることが重要だ」と強調されていたのが、とても印象的でした。
     
    ストレスをゼロにする事を目指すのではなく、社員個人に向け、適切で適度なストレスがかかる状態に組織を編成することが重要であり、その適切性を知るには「個人の価値観や思考行動様式」を知らなければいけない。といった様に、マクロの視座からミクロ視点にフォーカスしていくこと、つまり複眼を常にもつことの必要性を感じました。
     
    これはリスクマネジメントでも同様のことが起きがちだなぁと感じたのですが
    「メンタルヘルス不調者をださないために、ストレスをゼロにする」

    という発想にそもそも無理があり、適度なストレス環境をいかに維持していくのか、が成長の源泉になる。というのはとても興味ふかい視点でした。そういわれれば「ストレスとはネガティブなもの」という思い込みで、いろいろ考えている自分にも気づいた話でした。

    (以降、レポート「企業と社員を取り巻くストレスを考えるシンポジウム」(その2)つづく)