世界を視野に戦う経営陣に必要なこと【特別対談レポート】20170628

2017年6月28日に、CLUB-CHROはじめての「特別対談」企画を、株式会社イトーキ CSW事業部様の協力を得て、同社のITOKI TOKYO Innovation Center SYNQAをお借りして行いました。様々な人との出会いをお持ちの谷本様、森本様の2名をゲストにお招きし、「世界を視野に戦う経営陣に必要なこと」をテーマにしたトークセッションです。司会には堀尾、同時対談者として前田も登壇し、4名での進行となりました。対談は本当に様々なエピソードで盛り上がりましたが、その一部をご紹介します。

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【登壇者情報】
世界を視野に戦う経営陣に必要なこと

(スピーカー)
谷本有香氏
Forbes JAPAN副編集長
WEB編集長

森本千賀子氏
株式会社リクルートエグゼクティブエージェント 
エグゼクティブコンサルタント

前田徹也
株式会社ワークスエンターテイメント 
代表取締役

(モデレーター)
堀尾司
CLUB-CHROプロデューサー
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人としての魅力を感じる経営者

堀尾 本日はよろしくお願いします。谷本さんは、インタビューされている経営者の数は3,000人を超えていらっしゃるそうですね。
谷本 そうですね、経営者の方、識者の方、また日本の方、外国の方と数多くさせていただく機会がありましたね。
堀尾 森本さんは数千と言う数で、人材を会社に紹介してきた側ですよね。
森本 そうですね。毎年出している年賀状を数えると、4,800枚くらいありますね。
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堀尾 やはり活動スケールの広いお二人ですね。今日ここからのお話が楽しみです。  一つ目の質問として、偉大な経営者に共通する習慣があるのではないかと思うのですが、インタビューや面談を通じて感じられることはあるでしょうか?
谷本 いくつも思い当たりますが、特に重要だと思うことの一つに、「人格者」というのがありますね。習慣ではないのですが、一緒に働きたいと思う魅力があるんですね。たとえば人に逢ったらすぐ名前で呼ぶ、その場で流れてしまいそうなことでもあとから広報や秘書にちゃんと連絡しておいてくれる、といった小さなフォローを自然になさっていることが、人としての魅力の源泉にあるように思います。

森本 人を動かす力は確かに尊敬すべき方から感じますね。いろんな会社に講演で伺った時に歓待して迎え入れていただき、さらに食い入るように話を聞いてくださる経営者の方がいらっしゃるのですが、そういう姿勢は社員にも伝わりますよね。おそらく120%の力を発揮しやすい組織になっているのではないかと思っています。
前田 お二人の話から思い当たることはたくさんありますね。私も新入社員の時に、社長が誰に対しても深くお辞儀をし続ける姿は印象的で、自身の行動にも影響したと思います。

大きな夢と、緻密なプロセス

堀尾 経営者の視座の持ち方で参考になる点も多いと思うのですが、印象的なお話はありますか。
谷本 国際会議でしばしば「 200年後会社はどうするのか 」といった問いが当たり前のように出されるシーンを見ます。なかなか日本人は少ないので残念ですが、目を輝かせながら200年後を語る経営者が海外には多くいるんですね。経営者の見ている世界の大きさを感じさせる印象的な場面です。

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森本 私は様々な人や企業の転機を見てきましたが、よいタイミングで見事に次世代に経営をバトンタッチできた企業は、必要な事業変換も効果的にできているんですね。その判断をしてきた経営者は、自分の利益よりその事業の大義を達成したいという想いが強く、同時に謙虚です。今おこなっている事業では、どのタイミングでどのリスクが生じるか、先輩経営者に教えを仰ごうという姿勢が強いですね。そこで余計な時間がかからない分、一回りも二回りも会社を大きくさせられるのではないかと思います。

谷本 成果を残し続ける経営者は、あきらめない力がものすごく強いと感じます。ビジョンがどこに向かっているのかが定まっているので、どんな失敗があろうともそこに至るプロセスだと位置づけて、進むことができるのでしょう。ビジョンが確固たるものだと、メンバーも同じような基準で選択や決断ができるんですね。もちろんそれは一朝一夕にできるものではなくて、24時間365日言い続けるくらいの勢いで力を入れている社長もいらっしゃいました。
 

「場数を踏む」ことが成長を促す

堀尾 ご自身たちは、今の仕事スタイルをどのように身に着けてこられたのでしょうか。
谷本 私は、経営破たんをした企業にいたことが、やはり大きな出来事でした。向き合わなくてはいけないこともたくさんあって、長い時間をかけてエネルギーに昇華してきた気がします。企業の破たんのときには経済の論理と、メディアの影響というのをひしひしと感じ、何を信用するか、何に基づいて判断するかと言ったことにその後も影響しているかもしれません。

森本 修羅場への対応は場数を経験するなかで免疫力をつけてきて、ということに尽きるかもしれません。いろいろなエグゼクティブのキャリアチェンジを手伝っていて、この修羅場経験は大きいですね。ただ、経験を重ねる中で物事との向き合い方、人との付き合い方はどんどんうまくなってきた気がしますし、折れない心、レジリエンスの力も同時に高まっているように思っています。

先の世界を

堀尾 経営者が見ている世界は、大言壮語のように聞こえることもあるのではないでしょうか。
谷本 「ホラ吹き」という言葉がありますが、見る人によってはそう見えるかもしれないんですね。 「ホラ」というのは夢なのですが、それを現実にしていく、それが経営者の仕事だ とおっしゃった方がいました。絶対無理だということでもちゃんとデータをとっていき、できると見えてきたら一気に実行する。卓越した経営者たるゆえんではないでしょうか。

森本 インターネットがまだ普及途上だったころに、インターネットが広まった先の世界を見据えて求人をする会社を手伝ったことがあります。考えていることが違う、規模感が違う。そうすると、これまでの延長戦で提案してもまったく通らなくて、大きくやり方を変える必要がありました。こういうことを繰り返し実践し続けている会社は強いですね。そこの人事は、事業を理解し、事業のファンになり、そして攻めと守りを同時に進めていましたが、それこそが戦略人事の役割に見えます。
前田 伸びてきた会社は、トップの強い意志があり、かつ目指すべき状態の共有が社内で徹底されていますね。共有は必ずしもトップだけの役割ではなく、CHROが「翻訳して」伝えていくことが有効な場合もあるでしょうね。

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「公欲」によって視座があがる

堀尾 谷本さんの事前打ち合わせで「公欲」というものに気づかされたのですが、具体的なお話をいただけますでしょうか。
谷本 たくさんの経営者にインタビューをしてきた中で、その後活躍している人に注目すると、自分のためにという「私欲」から入ったとしても、国の為、業界の為、社会の為と目線を挙げているんですね。
森本 私も営業をしていると、今達成したい目標数字のためにがんばるんです。ただ、本当にその目標達成のためだけを目指していると、達成した時にその先がなくなるんですね。その数字目標はあくまでも手段なので、それによって何が実現できるのか、大義や使命のようなことがないと、どこかでくじけてしまいます。
前田 事業拡大をどういうビジョンとともに目指すのか。その事業のインフラとなるような器はどうつくれるのか。儲けたお金はどこに使っていくか。事業会社の役員会ではそういう議論をよくしていましたね。

堀尾 組織をつくるうえで、どのような経営チームが機能しやすいのか。新しい事業を創るチームづくりなどヒントはあるでしょうか。
前田 トップの得意分野をしっかり理解したチームであることがまず必要ですよね。トップが拡散型なら、ナンバー2が保全型の行動をとることでバランスをとっていく。経営陣が補完関係にあるチームとなれたら強いと思います。
谷本 今でこそ企業内起業と言われますが、社内で新しいことを立ち上げると結構苦労しますよね。足を引っ張られる場合もあるでしょう。うまくいくケースは、自分の事業をどうしたいというより、たとえばそこに若手を巻き込んで一緒に育て、この業界を元気にしたい、といった目線で語って、推進力を高めているように見えます。
森本 リクルートの場合は提案制度が活発なんですね。毎年何千件と集まっています。特徴はいいテーマを選んで終わり、ではなく、必ず役員レベルの人が伴走していく。事業のつくり方を支援する仕組みを持っているのは、組織の強みなのではないかなと思います。

「わくわくさ」は伝播し、ポジティブな方向に働く

堀尾 最後に皆さんへのメッセージをお願いします
前田 ご自身の立場で、どう経営に貢献できるかの参考になればと思いますし、特にCHROの方は経営へのコミットの仕方を考えていただけたらと思っています。また今日は刺激的な話も多く、それぞれのキャリアにとっての参考にもなればと思っています

森本 昔、アメリカの企業で年率20%以上成長し続けている会社を視察訪問した上司に聞いたのは、どの会社も「社員」を一番に大事だと位置づけていたことでした。人の力をいかに最大化するか、化学反応を起こせるか。それって本当に大事だと思います。常識的なことをやっているだけではなかなか「勝てない」事業環境の中で、非常識なことを価値に変えることができるのは、人の力、人の組み合わせによる力、ではないでしょうか。CHROの人はその組織をつくる役割として、個々人の人はそのキャリアを通じれが進むことを願っています。

谷本 取材で本当に多くの方にお会いしましたが、歴史に名をのこす経営者の方の共通点は、楽しくて仕方がない、わくわくしている雰囲気なんですね。少なくとも自分がわくわくしていると、それは伝播しますよね。企業も同じで、一人の人がわくわくしていれば、それは伝播する。そして必ずポジティブな方向に動くと私は信じていますので、是非わくわくする気持ちに忠実になっていくことを、私もしていきたいと思いますし、皆さんにも是非お伝えできたらと思っています。

堀尾 ありがとうございました。

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