組織のパフォーマンスを上げる称賛文化のつくり方【CLUB-CHROアカデミーレポート】

 CLUB-CHROの会員限定勉強会(アカデミー)は、HRに関するテーマの情報提供や事例紹介と相互の情報交換をしていく場です。6月15日にワークショップ型で実施。講師に株式会社シンクスマイル 代表取締役の新子明希さん、そしてゲストにアロージャパン株式会社 常務取締役の安東由歩さんにお越しいただき、「組織のパフォーマンスを上げる称賛文化のつくり方~1000社、150万回のコミュニケーション分析をもとにした秘訣とは~」を開催いたしました。

シンクスマイルさんはここ数回、会場としてもお借りしていた会社です。入口を入ってすぐのイベントスペースを今回も使わせていただきました。アットホームな雰囲気を持つこのスペースでは、セミナーや打ち合わせだけではなくお客様を交えた交流会なども開かれているそうです。

良いサービスは良いチームから生まれる

シンクスマイル社社長の新子さんが起業したときに決めたことでは、「 月曜日に足が重くなるような会社だけはつくらない 」ということ。その想いをずっと持ち続け、自社内で「ありがとう」を言える関係性、「ほめケーション」を行っていたそうです。
それが外部からも注目され、サービス化したものが事業となり、今は中小規模から大企業まで1,000社を超える組織に導入されています。「ありがとう」を感じた相手にSNS上でバッジ(企業の行動指針を具象化したアイコン)と感謝のメッセージを贈れるというシンプルなツールなのですが、このわかりやすさが日常的に使われるポイントなのでしょう。これまでに200万回の「ありがとう」を可視化してこられました。

なぜ「ほめる」「感謝する」を重視するかというと、企業文化の重要性を感じているからだと新子さんは言います。キーワードは称賛文化。「良いサービスは、良いチームからしか生まれない、良いチームは良い企業文化から生まれる、というのが、私たちの信念なんです」と話します。

シンクスマイル:新子社長

 ただし一般的には憂慮すべき事態が起こっています。紹介されたケースの一つ目は、「仕事」と検索した時のセカンドワードについて。サジェストワードに並ぶ言葉を映してくださったスライドを見ると、ネガティブな言葉ばかりが並んでいる検索画面でした。そして二つ目は、同僚との人間関係、顧客との人間関係、部下との人間関係といったことが原因で、8割以上の人がストレスを抱えているという結果の調査データ紹介。企業文化を決定づけるコミュニケーションに問題が生じてしまっていることが伺えます。「 仕事で検索してネガティブな言葉しか出てこない世の中は間違っていますよね。その現実を変えたいと思っています 」という想いが、同社の事業の源になっています。

コミュニケーションの本質と他者理解のスタンス

コミュニケーションの状況について、解説をはさみながら3回のディスカッションを実施しました。
ディスカッション光景
 
「部下を理解するために費やしている時間は何%か」であったり、「メンバーのやりがいや仕事の満足度の状況把握」といったテーマです。「部下を理解するために費やしている時間」について、新子さんからは「あるデータでは、実は『3%』という数字が出ているんです。マネジャーが皆忙しいからでしょうか」と話題提供がありました。ただし割合というよりその時間を何に使っているかも重要だと言います。

「コミュニケーションの本質というのは、相手を理解するためのものなんです。自分と他者はもともと違うという大前提に立って、どこが違いなのかを認識していくことですね。だから『聴くこと』ができている時間が『部下を理解するために費やしている時間』といえるでしょう。」後半の「やりがい」や「満足度」についてのディスカッションでは、コミュニケーションの本質に対する議論が各テーブルでは相当盛り上がっていました。

その後の発表である参加者の方からは、自身の心掛けている点の話とともに「やりがいを感じるポイントは人によって違うので、自分がいいと思ったことが部下にとっては正反対のこともあるはずです。だからその部下が何をやりがいと感じるかを聴くことが、はじめのコミュニケーションだと思っています」といった感想まで言及いただきました。

応援しあう行動は、会社の底力になる

良いサービスにつながる企業文化づくりを徹底して進めているのが、ゲストでお越しいただいた安東さんの会社、テレックスグループさんです。「その文化をつくるのに何年かかったのでしょうか」という問いに「実際に文化が定着し出したのはここ最近ですね。以前から実験的なことはしていたのですが、新卒採用を始めた時から、より意識するようになりました。」

「ただ、特別なことをやっているわけではないんです。売上の評価もあるけれども、それ以外の部分でも評価される、たとえば感謝のバッジが多いことは称賛される行動だと分かってもらうことをしっかり伝えてきました。このやり方が、結果的に将来の会社の売り上げにつながると確信して、すごく大切にしています」というお話から、本気度、徹底度が伝わってきます。

安東氏

実は基盤として、相互に理解し、相互に応援しあう関係性づくりを長く進めてきたことも、今の企業文化をつくる大きな要因に見えます。「もともと自分の目標や“なりたい自分”というのを、ほかのメンバーに、ちゃんと伝えて応援してもらう環境をつくるということを、研修などで相当取り入れてきました。採用でも取り入れています。そうしたことをやっているから、自己開示をしたり他の人を応援するということが定着してきていますね。」

新子さんも同社の朝礼をご覧になったことがあるそうですが「お互い何を言っても大丈夫だという安心」が感じられたと言います。成功するチームの要因に「心理的安全性」があると先日Googleが発表 icon-link していたことに言及され

 企業の成長は、そこで幸せを感じられる人の数に比例するのではないかと思っています。だから経営者も人事も、社員の幸福度をどれだけ上げられるかということを問い続け、向き合っていく必要があるのではないでしょうか 」というメッセージを最後にいただきました。

組織を進化させ続ける要素が学べた」と進行の堀尾が最後に述べましたが、今回は組織の基盤・土壌づくりに関する視点と、また経営者やCHROの信念がどのように組織づくりに影響するかを学べたセッションでした。

次回もまたHR領域のセミナーを実施していきますので、是非お越しください。