「採用率をあげる」ためにリクルーターと学生の個性をマッチングする仕組みの勉強会を開催しました

こんにちは。健康人事委員会事務局です。今年最後となる定例勉強会は「リクルーターの個性と学生の個性をマッチングして、内定者確保に成功した採用好事例が聞ける『コミュニケーション戦術』」をテーマに、12月7日(水)に弊社会議室(東京都文京区)で開催しました。

講師はFFS理論を提唱する株式会社ヒューマンロジック研究所の古野俊幸氏です。今回焦点をあてたのは、「採用プロセスの工夫」です。人と人との関係性をいかして採用をしている活用事例を紹介いただきながら、今後の採用実務におけるヒントをいただきました。

採用面接における難しさ

何もしないと組織は同質化していきます。これからの組織を強くしていくには多様性がキーワードになっています。しかし採用プロセスで実際に意図して多様な人を採用することができているのか。多様な人が入社したとしても、そのあと活躍できているのか。それを客観的データから見ていくためのアプローチ手法にFFS理論が活用されています。

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採用面接の時にみなさんの会社では何を重視されていますか。今回のご参加いただいた方々に伺うと、

「伸びしろがあるかどうか、まじめさがあるかを確認するための質問をする」
「コミュニケーション力を見る」といった観点があがってきました。

と仰っていました。聞きたいポイントを持っておくことで、目的を持った質問をあてていくことができます。 一方、どんなに面接に慣れている人でも、心理バイアスはかかるものです。

一般的に人は、自分と似ている人のほうが話しやすく、似ていない人はリズムがあわないと感じるものです。似ている人の話はどんどん聞き出しやすく、評価も高くなる一方で、リズムがあわない人に対する評価は悪くなりがちです。

採用面接で重視するポイント

採用で重視する点は、積極性やリーダーシップ、コミュニケーション力などがあげられますが、面接者の同じ回答に対し、面接官によって評価がわかれることが往々にしてあります。

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たとえば学生時代の経験を聞いたときに、「研究室の予算確保が必要だった時に、教授には言わずに論文を出して獲得し、あとで報告した」と回答したら、ある面接官は「自主性・積極性があっていい」と評価するでしょう。しかし別の面接官は「協調性がない、勝手な行動をとる」と評価するかもしれません。

一般的に、人は同質関係が高いほど最初は意気投合して議論が活発になる傾向があります。一方、異質の人同士でも補完関係にあれば、一定時間の後に同質関係よりも生産性が高くなるというデータが出ています。

異質補完関係の人が入るほうが、結果として組織のパフォーマンスが高くなる可能性は高いのですが、面接という限られた時間内ではそこまで分からず終わってしまうこともあります。

面接の組み合わせから、採用業務フローを設計をすることができる?

健康人事委員会の勉強会では、参加される方のFFS理論による個性診断を受診していただいています。本日はここで、みなさんのFFS個性診断結果を返却しながら、5つの基本因子とその特性を共有しました。

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FFS理論の考え方では、同じ特性でもストレス影響によって行動が変わります。たとえば通常は寛容で肯定的な行動をとる「受容性」因子が高い人は、ネガティブな反応になると、逃避的・自虐的な行動に変化します。

創造的で積極的な「拡散性」因子が高い人は、ネガティブな反応になると、破壊的・享楽的になることがあります。ストレスとは「外的な刺激」と捉えますので過剰ストレスだけではなく、過少ストレスによる慢性化も注意点になることがあります。

まずはこうした個性(特性)の違いがあることを面接官側が理解しておくことで、有効な面接をすすめていくことができます。そして採用担当者は、同質同士の方が理解・評価が高くなる、ということも知っておきたいことです。
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エピソードからみる

面接官が学生さんに、学生時代の研究テーマについて尋ねたとします。
回答として、「担当教授の指導で研究テーマを決定し、きちんと仕上げて教授からもほめられた」というエピソードを学生が話したとします。ちなみに、この学生さんははしっかりと段取りを確認してリスクを押さえていく「保全性」因子が強い人でした。

この話を「拡散性」因子の高い面接官の人が聞いたときには、こう評価してしまう可能性があります。

「自己主張がない、こじんまりとまとまって面白さがない」

なぜなら「拡散性」因子の高い面接官は、自由に動きまわることで、物事を解決しようとする行動をとりがちだからです。

一方、「保全性」因子が高い面接官だと、この学生さんの回答と行動に同調する可能性が高まります。その結果、

「忍耐力、協調性もあり確実に仕事をこなせる、頼もしい人材だ」

という評価を出すことになるでしょう。

仮にその学生が採用したい人であるならば、人事部としては面接官に同質の人を配置するほうが選考に残りやすいと考えることができるのです。

勉強会で出てきたこの事例をまとめると次のようになります。

 面接官と学生が「同質同士」の組み合わせだと、次のような効果が生まれます
  • 行動に至る背景が理解しやすい
  • 話が弾むので、親和性が構築できる
  • 行動内容やレベルについて、さらに深い質問ができる
 面接官と学生が「異質同士」の組み合わせだと、次のような状況が生まれます
  • 相手の行動を否定的に評価しやすい
  • 第一印象が低くなりがちである

学生側が企業に対して持つ印象にも、この組み合わせは影響します。ある企業でとったデータによると、面接官と同質同士の組み合わせの方が、異質同士の組み合わせより学生の評価点が高く、辞退率も10%ほど低い傾向が見られたそうです。もし内定後に迷う学生を確実に口説きたいときには、同質な関係性の人を応対者にあてるほうが有効だといえます。

欲しい人材を採用するためのプロセス設計ができる

人と人の組み合わせ、関係性による採用戦術、「どういう人材をとりたいか」という採用プランとしても使うことができます。学生側に応募時点でFFS理論による個性診断を受診してもらうことで、データを元にした行動を仮説することができます。

といっても、すべての会社がFFS理論を導入しているわけではありません。その場合、診断データがなくても「関係性」の考え方を応用することはできます。

一つのやり方として、面接官側の個性(特性)を把握し、その配置によって、自社が欲しい人材の多様さを設計していくというものです。

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たとえば今年は「拡散性」の人を多くとりたいと思うとき、社員の中で「拡散性」の高い人を多く面接官に任命します。すると“同質性が高い人に対して高評価をする”傾向があるので、結果として「拡散性」が高い人が多く選考プロセスで残っていく可能性が高まります。

「拡散性」と「保全性」を同程度とりたいときには、面接官の割合を同等に配置することで目指す割合に近づける可能性が高まります。

面接官の個性を把握し、適所配置で採用率をあげる

今回の勉強会では、他社の活用事例も紹介いただきました。ある会社では各階層にどのような特性の人が10年後に何人くらいほしいかを描き、それに沿って毎年の採用者数と特性バランスを設計しているそうです。

そして面接官にその方針ガイドラインを共有することと、二次面接段階では同質性の高い面接官をできるだけ組み合わせるような設計をし、できるだけ意図通りの人材を獲得できるように工夫しています。

また事前に学生のFFSデータをとり、グループワークで想定される行動チェックをする会社もあるそうです。この会社の選考プロセスはほぼグループワークで構成されています。そこで得た個々人の行動特性をもとに、内定を出す時には、各人毎の特性に応じた育成プランをつくる段階に至ります。それを提示し、自社での活躍・成長イメージを伝える事が、内定時の強い魅力にもなっているのです。

優秀な人材、いいチームとは

古野氏によると、どれかの因子が強い人が優秀人材なわけではありません。自身の持ち味を存分にいかして発揮している人が優秀なのだ、といいます。裏をかえせば企業側は、それぞれの持ち味を見抜いて活かすことをおこなうことで、「優秀」と評価される人材が増えていくことになるともいえます。

また、“いいチーム”というのは、それぞれが補完し合い、自然に持ち味を生かした役割遂行ができているチームです。入社後のOJTの組み合わせやチーム編成における関係性も設計することで、強みを発揮できる環境づくりも可能なのです。

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本日のポイント

人が人を判断するという点で、万人が確信する採用というのは難しい面があります。また、誰しも強み弱みがあり100点満点の人はいません。そのため採用ポイントは面接官の好みにも影響されがちです。(どんな面接官と出会うかは『運』といわれる所以ですね)

しかし今日ご紹介してきたように、採用プロセスの設計は面接官側の配置でコントロールすることができます。そのためには採用方針や目的を明確に持つことも同時に必要です。
10年先の組織設計からブレイクダウンした採用設計という他社事例も、大いに参考になりました。

  • 関係性の同質・異質さは、面接時の印象を左右する
  • 面接官設計により、多様性や意図する採用を設計できる
  • 面接官設計は、学生側からの評価や内定辞退率にも影響する