メンター・メンティ制度で効果をだす7つのポイント(セミナーレポート)

「2時間で学ぶメンター・メンティ制度で組織の生産性を変える」と題して5月27日(金)に弊社会議室(東京都文京区)で、開催した人材育成セミナーのレポートをお送りいたします。

セミナーの大きなテーマは“人が育つ組織をつくる”。健康人事委員会プロフェッショナルボードメンバーでもある、FFS理論を提唱する株式会社ヒューマンロジック研究所の古野俊幸氏に登壇をお願いしました。

  • 対象 人事担当者、教育研修担当者
  • 解決できること メンター・メンティ制度がスムーズに導入できる
  • こんな組織になる 風通しがよく人が育つ組織になる
  • キーワード コミュニケーション、FFS理論 新人研修

新入社員を中心とした受入体制強化が進む中、メンターという言葉を聞く機会が増えつつあります。メンター・メンティ制度は、以前よりある人材育成の仕組み。しかし期待した効果、手応えを感じている企業はどのくらいあるのでしょうか。漠然と先輩・後輩を組み合わせただけのメンター・メンティ制度運用では、メンターとメンティ共に負担感が増えるだけになりそうですよね。

計画・制度設計をおこなう人事担当者にとって重要なのは、個性の違いによって学び方が異なるということへの理解。個性によって適切な学習方法は異なるものです。体験型学習が適している人、積み上げ型学習が適している人、じつにさまざまです。

  • 目標合意のポイント
  • 指示の仕方
  • 業務進捗の管理方法
  • 動機づけ
  • 古野氏を中心に人材教育について話し合う参加者

    戦略的に計画・制度設計策定する事の重要性と、各企業の導入事例を聞きながら、適切なメンターを配置することの重要性の意見交換が、活発に行われました。

    適切な配置と組み合わせにより、生産性を高める

    セミナーには3社の人事ご担当者様がご出席。冒頭で弊社代表の前田より、「組織の生産性をあげる方法には、ルールに基づいた適正配置の重要性」についてお話をさせていただきました。前田は自身も起業・成長ステージ、株式公開を創業者として経験。また多くの成長企業とおつきあいをしてきたなかで、企業の最重要課題である組織の生産性をあげる成功法則をもつ事が、企業成長として重要不可欠である事を理解しています。

    自社の課題と照らし合わせながら、具体的な質問が数多く飛びかいます。「自社に適した生産性の高いOJTの仕組とは・・・・・」を考える、とても踏み込んだ時間になったのではないでしょうか。

    古野様より「個性に応じたメンター・メンティ制度で組織の生産性を変える」を、テーマにお話しを頂きました。

    最初に、株式会社ヒューマンロジック研究所の説明をとおして、FFS理論について簡単な説明です。同社はFFS理論を広める為に創業された会社です。FFS理論によって一人一人の思考行動を測定し、性格とストレス傾向を分類されながら、企業へ戦略的な組織作りや人材配置をご提案されています。

    OJTの実態について話し合うセミナー風景

    ストレスには良いストレスと悪いストレスがあります。良いストレス=刺激はモチベーションに繋がります。しかし過度なストレスになるとディストレス状態となり、行動が支配的や独善的になることがあります。FFS理論では、一人一人のストレス行動や原因を追究する事ができ、ディストレス状態を改善するのが重要である事を提唱されています。

    良いチームを作る、良い組織を作る事は、とても重要です。人と人、人と仕事、部門と部門の組み合わせで、シナジー効果が予想外に出たり、生産性を1倍から2倍にあげる事が出来ます。生産性があがることを偶発的要素に期待するのではなく、意図して戦略的に計画するためのツールとしてFFS理論は活用されています。

    さて本日のテーマである「メンター・メンティ制度で組織の生産性を変える」について古野氏からOJTを活用し若手を育成する上で、「適切な配置と組み合わせにより、生産性を高めるのが重要」と提唱がありました。

    計画的にOJTが運用できてい企業は10%。90%企業は現場まかせ

    最初に、産業能率大学研究所様からのデータを元に、基礎情報を振り返ります。調査データからは、計画的にOJTを導入しているのは10%程度、90%近くの企業はOJTを導入しているが実際は現場任せになっている、という実態が浮かび上がります。

    現場部門まかせの傾向は、採用活動においても同様の状況があります。たとえば「どうしてAさんを採用したのか」という設問において「面接官との相性が良かったから」という回答が多くなる傾向があります。このことから“人が人を評価するに際して、自分と同気質の人への評価が甘くなる傾向があるのではないか”、という仮説が成り立ちます。

    同気質同士が共鳴しあう、という事実をメンターメンティの組み合わせを考慮する際に

    • 短期的に効果を出したい場合は、似た者同士を組み合わせることで、瞬発的に効果がでる
    • 長期的な視点から効果を期待する場合は、真逆の気質の人がメンターとなりメンティーを導く

    という仮説として用いることができます。

    ヒューマンロジック研究所:古野俊幸氏

    ここで古野氏が支援されている企業の事例を共有しました。この企業では過去10年間にわたって従業員評価分析をおこなっているそうです。分析のなかで評価が急上昇する時期があるということが発見されました。その時期を詳しく調べていくと、“評価が上昇している時期は、上司が変わっているときと重なっている”という傾向があったそうです。

    この他にも事例を通して、効果的な人材教育の取り組みや効果をどうやって把握するのかという話がでました。方法論はそれぞれの環境や気質によって変化します。重要なのは

    • 計画的にメンター・メンティ制度の設計をしている会社
    • 現場まかせにして、形だけのメンター・メンティ制度を導入している会社

    を比較した場合の、離職率や生産性の低下といった違いを理解することです。そこに改善すべきポイントがあるはずです。

    採用に関しては時間と労力をかけておこなわれる一方、配属とメンター・メンティ制度には無策(無防備)な会社が殆ど、という実態を目の当たりにしました。参加者全員が「自分の会社はどうだろう」「エビデンスにもとづき人材配置を行なっているだろうか」と想像されているご様子でした。

    自分のサーベイをながめる参加者

    メンターメンティ制度の進め方

    メンター・メンティ制度は、いってみえばOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)です。その進め方には、大きく6つのステップがあります。

    1. 業務依頼をする
    2. やって見せる
    3. 解説する
    4. 模倣させる
    5. 一人でやらせる
    6. 自立させる

    各ステップのススメ方にメンターの個性が反映されることは、すぐにわかりますね。そこで課題となるのは”メンター自身が教え方を学んでいないため、我流でトレーニングをおこなっている傾向が高い”ということ。つまりそれが「現場まかせ」のひとつなのです。

    メンターメンティが同じ個性だと、効果的な指導を自然とおこなえます。しかしメンターメンティ(新人)の個性が異なる場合は、良い効果が生まれません。するとどうなるでしょう。新人に対する評価が低くなります。そして新人は評価を挽回するのが非常に難しくなりませんか。

    OJTにおいては、自分の個性と相手の個性を理解すること。違いの理解をしたからこそ、ステップにおけるコミュニケーション(伝えること、理解すること)を円滑におこなえる、という環境をつくりだすことが重要になります。合わない人同士を組み合わせても、期待する効果はでませんよね。

    OJTのあり方について意見交換する光景

    FFS理論で、参加者同士の関係性をシミュレート

    さいごに自分の個性と相手の個性を理解するツールとしての、FFS理論(※Five factor and Stressの略称)の具体的な説明がありました。FFS理論では、個人のストレス(外的刺激)に対する行動特性を定量化することができます。日本人の小林博士がストレス学の祖であるハンス・セリエ氏と研究した「ストレスと性格」を出発点に研究され、米国国防総省の海兵隊組織編制論でも使用されました。

    人の行動特性を5つのストレス因子に分類し、その強弱によって行動の優先順位が決まるという理論です。企業においては、いかに組織の生産性を高めるかが重要な人事課題となっています。参加者の方々は、自社が本当に理論的に生産性の高いチームを編成出来ているかを考え、戦略的に実行する重要性を再認識されたご様子でした。

    ご参加者の皆さまには、事前にFFS理論による個別的特性を診断するサーベイを受診してもらったのですが、ここで、各々のサーベイ結果をフィードバックさせていただきました。それぞれがサーベイを見ながら、自分の個別的特性を理解されていきます。

    またこの場にいる3名をひとつのチームとして編成した場合の関係性や、その関係性をより良好にする方法等について、プロジェクター投影されたシミュレート画面をみました。

     icon-volume-up 音がでますので、ご注意ください。

    本日のセミナーのポイント

    本日のセミナーでお伝えさせていただいたポイントは次の7つです。

    1. 新人の育成には、OJTメンター(トレーナー)が必要不可欠
    2. 新人とメンターは同質関係が好ましい
    3. 同質でマッチングできない時は、違いを理解する事が大切
    4. メンタ―が基本的なOJTや個性を学ぶことが基本
    5. 将来的にメンターを体験する事で、管理職の練習となる
    6. 将来的に人材のデータベースを保持し活用することも大切
    7. メンターとしての資格認定も活用しよう

    OJTは、新人教育の最初の施策として最重要でありながら90%と、ほとんどの企業が戦略的に実行できていません。その理由はメンターの経験値に頼りすぎにあります。

    まずは新人ひとりひとりの個性因子を理解し、計画的に育成を進める事が、適材適所のスタートであり、企業の生産性向上と業績向上に繋がるのではないでしょうか。