組織力を高めるためには「個人×個人」の状態をどうつくるかに鍵がある :堀尾司インタビュー

日本初のCHRO養成講座:CANTERAの講座終了後に、登壇講師の1人でCLUB-CHROプロデューサーの堀尾司に、人事の役割や組織づくりに関していま思うこと、をテーマとしたにインタビューをおこないました。

自分の個性と役割分担

 「マネジャーになったら何でも判断しないといけない」 「チームを率先して盛り立てていかないといけない」
こう思っていたマネジャーのAさんは、一生懸命自分の役割を実践しようとしていました。しかし「率先して行動し、みんなに指示をしないと」と思えば思うほど空回り。もともと人の話を聞くのが得意だったAさん。メンバー一人ひとりの声に対応していこうと思うほど、うまく指示出しができなくなり、自分でかかえる仕事が多くなってしまいました。

ーーこんな経験に思い当たることはないでしょうか。CLUB-CHROプロデューサーの堀尾もその一人です。

 「『どうせできないなら、できるって言うなよ』という上司の一言でハッとするしたんです」 とCANTERA終了後のインタビューで話し始めました。

「人にはそれぞれ特徴があって、その人が強く持つ因子によって行動が変わるはずなんです。ヒューマンロジック研究所が提供するFFS理論 icon-link を知ったときに、『自分の特徴をもっと知っていればもっとメンバーともうまく接することができた』と思い返しましたね。」

堀尾司

「自分自身は『受容性』という因子が強いので、人の話をどんどん受け入れてしまうタイプなんです。相手にもよかれと思って『困っているんだったらその仕事、やりますよ』と言ってしまう性質なんですが、その結果、自分が苦手とするようなことまで引き受けてしまうことも結構あって。できなくて迷惑をかけてしまうような事態も起こってしまうんです。でも引き受けた後、段取りを整えたうえで人に任せることもできるはずです。先ほどの上司の言葉は『人に任せることを考えろよ』ということだと受け止めていて。いい役割分担ができないとチーム力の発揮もできなくなってしまいますからね。」

チームの結果を出すための「逆算」

堀尾が現在注目しているのは、「チームの結果を出すためにどうするか、という逆算をする」発想だそうです。たとえばチームの生産性が低い原因がわかったとしても、その改善方法を見いだしていかないと状態は変わりません。

「組織力の元は適材適所だと思っているのですが、実現できている会社はまだまだ少ないんじゃないでしょうか。結果を出すためにはメンバー全員の力の発揮が必要で、強みを生かせる環境の方が誰しも力は発揮しやすくなる。強みを生かせるようにするには、そもそも強みが何であるかを知らないといけない、というような思考を逆算と呼んでいます。」と話しつつ、「人をちゃんと知っているか」に課題があると話します。

 人の個性は組織力に対する『変数』だと考えています。人事やマネジャーはメンバーそれぞれの変数が何であるかをまず知り、変数×変数で生まれる効果を知り、結果を出すために有効な組み合わせを考える、という3段階が組織力強化を考える際の基本ステップといえるでしょう。 

持てる力を発揮しあえる組織に

人の育成面でも、個性の見極めと組み合わせの影響が大きいと堀尾は話します。

「たとえばメンター制度は人材育成面でも、組織の方向性共有のためにも有効ですが、実は機能しきれていない状況もあるんじゃないでしょうか。メンター制度だけのせいではないですが、せっかく採用した新入社員が強みを発揮できず疲弊してしまっている例も見ます。かつ、その新入社員が我が社に合わなかった、という判断をしてしまうこともあるでしょう。確かに新入社員側の能力が満たなかった場合もありますが、持っている力を発揮させてあげられなかったケースも結構あるような気がしています。」

「持っている力を発揮させられるためには『どうしたら組織力があがるのか』という考え方にたつのが一番です。新入社員につけるメンターを『成果を出している人だから』『人間性がいいから』という曖昧な理由で選出し、リスト順で組み合わせているケースを見かけますが、組織力を考えるなら、これではなかなか成果につながりません。新入社員の強みと弱みをふまえ、適切なアドバイスやサポートができる人をメンターに選ぶことが必要です。」

堀尾司

「組み合わせは一通りとも限りません。たとえば新卒の時には新入社員と同じタイプの人をメンターにつけ、2年目になったら異なるタイプをメンターにつけている会社もあります。そしてスタートしたあとも定期的に状態チェックをしていくことも必要です。また、新入社員に限らず相乗効果を出せるような個性の組み合わせをつくること。強みと弱みを補完しあえる関係をつくること。これがチームの力を高めていきます。人事はこうした人と人との関係性に目を向けることも重要でしょう。」

人の成長、事業の成長の両方を実現できるのが理想的な人事だと思っていますが、個人×個人を『局地戦』式で見られるかどうかはそのカギの一つかもしれませんね。メンター制度は一つの例ですが、組織力からの逆算発想で今行っている施策を要素分解してみてはどうでしょうか。