事業立ち上げ、起業。そしてM&A後の統合まで「株式会社インターネット」での“異動”が強みになる。「松葉重樹」への【インタビュー】

創業期、拡大期。起業とM&A。”株式会社インターネット”のなかで異動してきた感覚なんです。

どのような機会にどのような判断をしてきたか。どのような経験を積んできたか。[この人はどういう人なんだろう」、ボードメンバーの人となりをお伝えするのが、この「紹介記事」です。
事業立ち上げ、起業。そしてM&A後の統合まで「株式会社インターネット」での“異動”がいつしか自分の強みになっている。徹底した現場視点と俯瞰する経営視点の両方を兼ね備える松葉重樹氏のキャリアに迫りました。

急拡大する組織、一からの起業、会社の売却と“濃い経験”を重ねる

キャリアの中心は、と聞かれたら「営業」になるでしょうね。何社かを経験していますが、ほとんど営業と事業開発系が中心でした。 大学を出るときに「起業」という文字が頭の中にはあったんです。でも当時のぼくの中では、経験を重ねて40歳くらいになってからだと思っていて、就職活動をしてNCRに入りました。

ところが働き始めたころに、サイバーエージェントの藤田さんの起業が、新聞やテレビをにぎわせたんです。自分が40歳くらいでと思っていた起業を20代でやっている。衝撃を覚えて、それで関係ないのに飛び込みでサイバーエージェントに営業にいきました。もちろん商談は決まらなかったのですが、これがご縁でその後サイバーエージェントに入社しました。

そこからは相当働きました。設立2年目くらいの時期だったので、採用も組織づくりもまだまだこれから。元々仕事熱心かというと何とも言えませんが(笑)、裁量がものすごくあって、大変だけど面白かったからだと思います。入社して2か月目くらいに管理会計を任されて。でもできないんですよ。それまで経験もないし。エクセルと格闘しながらコストや原価の考え方を勉強して、という日々でした。

松葉重樹

ただ自分が頑張って動くと売り上げが目に見えて積み上がっていく。障害も多いけれど、めちゃめちゃ面白かったですね。一緒に働いている人たちも魅力的でした。サイバーエージェントはその後どんどん拡大し、離れる頃には2000人規模になっていました。たぶん徐々に自分自身でもこういう会社をつくりたいって思いが出てきたんでしょうね。2007年に離れてベンチャー企業に入りました。技術を持つ人と仕事したいというのも思っていましたね。

一方、サイバーエージェントみたいな会社をつくりたい、というイメージは、新しい会社の人にとっては全然関係ないことで。普段のコミュニケーションでもそういう言葉が出ちゃっていたかもしれません。今思うと、それは新しい会社で新しいことをやるうえで、外した方がよかったんだろうなと思います。この会社は結果的に売却となりまして、その次は自分で会社をつくったんです。

3人で役割分担して人材サービスを立ち上げて。でもこの頃にリーマンショックが来まして。対岸の火事だと思ったら日本にも来て…という時期でした。そうした外部環境以外にも経営側の事情もあり、1年弱くらいで楽天に移り、もう一回広告系のキャリアを積みました。そこからベンチャーにまた入って、そこでも広告・事業開発系の仕事でした。ここはKauliという会社で後にVOYAGE GROUPにM&Aされるのですが、事業と組織の統合プロセスをど真ん中で実行した経験にもなりましたね。

“株式会社インターネット”のなかで“異動”してきた感覚

「転職多いね」と言われることも結構あるのですが、ぼくの感覚では「株式会社インターネット」のなかで異動しているような感覚なんです。インターネット広告系で“ガテン営業系”があんまりいないから重宝されたのかもしれません(笑)。

インターネットビジネスに何らか関わり続けてきたのですが、この世界も少しずつ変わっていますね。 たとえば初期の頃は「ドッグイヤー」と言われて、昨日言っていたことをやっぱりやめよう、今度はこうしよう、という朝令暮改のようなことも多かったかもしれません。でも世の中にインターネットが浸透し、社会的な理解も進み、従事する人も増え…というのがここ10数年の間に起こって、使い方をみんなが分かり始めています。

メディアやブログなどいろいろな使い方がすでに出ているので、次に何かやるときにはまず過去と現在を押さえて、そこから将来を考える。そこには計画性が必要になり、将来に向けた創造性がより問われることになります。こうした計画性や創造性を早いサイクルで回しながらしっかり形にしていく会社が、今後は強い会社、生き残っていく会社になるでしょうね。

松葉重樹

とはいえ、インターネットのサービス開発は全部先に描き切るより、開発者とコミュニケーションをとりながら組み合わせの連続で差別化をつくっていくんです。そのやり方に自分の思考も慣れてしまったみたいで、体系的に説明するのは苦手なんですよ(笑)。会話をしながら考え、意見やアイデアを出すタイプだと思います。

まだまだ面白いことを追い求める

今は、また新しく会社を始めることに向けた準備期間です。
自分自身に「起業」という関心が芽生えたのはあんまり覚えていないんですけど、20歳くらいだったと思います。おそらく「起業」を思ってから実現するまでに、一般的には10年くらいかかるとぼくは思っているんですね。23歳で起業する人は中学生の頃から何となく起業したいと思っていたり、33歳で起業する人は20歳頃にそう思うきっかけがあったり。起業に関心を持ってから情報をとるようになりますよね。

そういう意味で、10年くらいの醸成期間を経ていくような気がしています。 起業のタイミングは年齢が関係するものではないですが、ただいずれにせよ大学でもっと起業論が扱われるといいなと思っています。たとえばアメリカの大学では管理会計とか人間関係・コミュニケーションなどを当然のように扱っている。そういう感覚は早くに身につけられたほうがよくて、機会があればぼく自身も教える側で貢献できないかなとか思っているんです。

座右の銘
 icon-anchorトライし続ける

「トライし続ける」というのは、自分を鼓舞する為に使いますね。あとは「ちゃんと事業すること」。「ちゃんと」という部分はあえて曖昧にしているんですけど、「自分がちゃんとやっているか」という振り返りのようなときに自分の中で使う言葉ですね。ごまかしていないか、逃げていないか、向き合っているか、のようなことを自問自答しています。

 icon-pencil 編集後記

一貫して感じたのは、どの場面でも「部分」で考えずに「全体」を見ていること、一方で一つ一つの「部分」課題や事象をおろそかにせずに、全力で解決していくこと。この2つが常に進行している様子でした。困難な事態であればあるほど判断が難しくなってきますが、どこに視点を据えて、何をぶらさずに行動するか。数々の経験から培ってきたものが、様々なエピソードに自然に入り込んでいる感じが印象的でした。