インテリジェンス創業メンバー、「前田徹也」の“経験と価値観”【インタビュー】

インテリジェンス時代は「つなぐ」機能に徹した時期でした。そしていま、新たなチャレンジが続いています。

どのような機会にどのような判断をしてきたか。どのような経験を積んできたか。[この人はどういう人なんだろう」、ボードメンバーの人となりをお伝えするのが、この「紹介記事」です。前田徹也氏はインテリジェンス創業メンバーの1人で、2000年の同社上場まで常務取締役として最前線で「事業を創り」「経営」に携わっていました。成長期のインテリジェンスの事業立ち上げ担当。あるいは人事統括取締役、あるいは経営コンサルタントとしての活動。そして再び起業し10年が経過しました。現在はどのような心境で過ごしているのかを聞きました。

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ボードメンバー株式会社ワークスエンターテイメント代表取締役 前田徹也氏(株式会社インテリジェンス創業メンバー)

決断の裏にはいつも「人」がある

ぼくはずっとサッカー少年だったのですが、大学の入学式でプロデュース研究会というサークルの誘いにふっとついていったんです。イベントやプロモーションをやるような団体だったのですが、そこで後にインテリジェンスの創業を共にする宇野さん(注:宇野康秀氏 現株式会社U-NEXT代表取締役社長)に出会いました。

就活のときにはたくさん受けて、結局2社しか受からなかったんです。どっちの会社にしようか迷った時に、宇野さんからの一言があって、片方のリクルートを選びました。リクルートの同期に島田さん(注:島田亨氏 現株式会社U-NEXT特別顧問)がいて、宇野さんが入社したリクルートコスモスに鎌田さん(注:鎌田和彦氏 現株式会社オープンハウス取締役副社長)がいて、よく4人で飲んだりしていました。その4人が後にインテリジェンスの創業メンバーとなるんです。

ぼくは1人で何かをやりたいというタイプではないんです。だからこの創業のときも、半年くらいずっと話していた結果「よし、俺たちでもうやろうよ」「そうだな」という言葉がみんなから出た時に、自分も一緒にやると決めたんです。 天地人という言葉がありますが、まさに「人」のところが整った時に「いこう」と決められる。 それでも成功確率は50%くらいだと思いますけどね。

一方、新卒で入ったリクルートは結構苦労も多い時代でした。はじめに総務部オフィスレイアウト課に配属になった時点であまり面白くない。研修で営業現場にも出たのですが、全然売れない。総務に戻ったら仕事量は多くて、毎日終電を過ぎるような生活が続きました。

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ある日、今のリクルートスタッフの前身のシーズスタッフにいた同期と会ったときに「うちに来ないか」と言われたんです。同時に「そろそろ違う仕事やったらどうだろうか」と宇野さんにも言われたのがきっかけで、そこに転籍をしました。ここが人材ビジネスに関わるきっかけでした。

後にインテリジェンスでも派遣ビジネスを立ち上げることになりますが、そうしたビジネスの元はこの時代に築かれたと思っています。派遣スタッフと企業をマッチングさせる仕事だったのですが、ここで磨かれたのは傾聴力ですね。しっかり聴かないとミスマッチを起こしてしまいますので。

もう一つここで気づいたのは、専門スキルについてです。派遣社員の方々は、どうやったら時給があがるか徹底的に考えています。専門的な知識・スキルを持っている人の良さをしっかり引き出し、合う職場で長く働いてもらうことが、経験として自分自身に蓄積されたのはその後にもずいぶん役立ちました。

自分の「やらなきゃいけないこと」をしっかりやること

その後今に至るまで人材ビジネスに携わっているのですが、理想があってというわけではなく、「やらなきゃいけないこと」を進めてきたなかで、この領域が自身のパフォーマンスが出せるからという側面が強かったでしょうね。

もちろん過去には「やりたいこと」を探した時期もありましたが、漠然と追い求めても見つからない。 結局自分が評価をされるのは「やらなきゃいけないこと」の結果であり、その中で自身も力がついていくとあるとき気づきました。常に「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」、そして「やれること」の間に揺れるのですが、「やりたいこと」は「やれること」と「やらなきゃいけないこと」の先にしかないんですね。 一つ大事なのは自分で選ぶこと。それは職業選択のポイントというより人生のポイントかもしれません。

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一方、そうやって経験を重ねてきた今になって、自身の経験や体験をお伝えすることが役に立つことがあるという実感が増え、人材ビジネスに改めて向き合っている気がしています。どの仕事にも発注者がいますが、今思っているのは、発注いただいた方の価値をあげる手伝いができるかどうかということです。

価値をあげるとは、その会社の企業価値が上がったり、もっと売り上げが伸びたり、いい組織になっていくようなことです。そのためにコミットし、自分と自分の会社が何が出来るかを徹底して考えます。耳障りなことでも、それが本当にその会社に大事なことだと思ったら、なるべく言うように心がけています。

会社を「つなぐ」機能に徹した時期

インテリジェンス時代に「人の特性と最適組織編成を診断するFFS理論」というロジックに出会いました。そこから組織づくりをより俯瞰して見られるようになりました。人は論理的なのか感覚的なのか。行動的なのか守備的なのか。使命感で動くのか、環境を受け入れるのかといった違いがあります。5つの因子(凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性)のエレメントのどれが強いか弱いかで、個人の行動は変わりますし、意志決定も微妙に違ってきます。

コンサルタントをしていると、いろいろな組織や経営者に出会いますが、成長企業の経営者であればやはり組織を大きくしたいと思っていますよね。その時に重要なのは役員のフォーメーションだと思っています。実はインテリジェンスの創業メンバーは、みんな個性がばらばらで、ただしこの理論でいう補完関係が見事にできていました。

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当時のインテリジェンスが象徴的だったのは、 とにかく議論を尽くすという文化 です。社長が最後までメンバーの意見を聞きます。自分に意見があっても議論するというプロセスをまったく省かない。やはりみんなの意見を大事にし、必ず耳を傾けた上で最終決定するというスタイルを明確に持っていたんだと思います。

たとえば評価制度をつくったときも、各事業部から希望者を中心に人を出してもらってプロジェクトチームで徹底議論して作成しましたが、それを役員会にかけるとそこでも徹底議論になる。そして差し戻しになってもう一度提出、というのを4回も5回も繰り返すんです。 でもこのプロセスは、意思決定のプロセスを明確に共有していく場でもありました 。役員会でのけんかも結構しましたが、一体感はすごかったです。

会社が大きくなっていく中でも、意思疎通が通る文化はずっと続きました。実はぼくは「つなぐ」機能に徹していました。気質としては攻め型なんですけれどね。個性的で行動的な役員の間や、役員とメンバーの間、部門間の間など様々な「つなぎ」が必要になります。 会社の全体最適のためにはこの「つなぎ」が大事だと思ったんです。 

内省する時間を意図的につくる

特に若いころはがむしゃらに働いてきましたが、毎年、年末年始は振り返り内省する時間をつくっていました。これは今でもすごく大事にしています。日本人の特性かもしれませんが、正月と四季は自然の摂理を感じさせるのではないでしょうか。こういう節目に自分のこと、家族のこと、会社のこと、社会のこと、一度自分の言葉にするようにしていますし、転職支援をする際にも何か自分のやり方をつくることをアドバイスしています。

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人材ビジネスをやっていると、日々人に言うことが、必然的に自分にも向けられることはあります。人に言ったら自分もやれているかを問われますので、そこも内省する機会でしょう。実は40代の後半にすごく焦っていた時期があったのですが、50歳を境に肩の力が抜けて、また新しいことを追いかけています。50歳というのは49年364日の次の日なんですね。50にして天命を知ると言いますが、それはそれまでの経験以上でも以下でもないはずなんです。

ただ経験してきたことが言語化、体系化して話せるようになったのは50歳を超えてからです。泥臭くも真剣にやってきたインテリジェンス時代の経営経験の話が今、役に立つことも出てきています。こうした機会からまた次の挑戦が始まっています。

座右の銘

 icon-anchor 一期一会

「一人の人との出会いがその人の人生を変えることがある」という自分なりの解釈で使うことが多いです。そういう場面に何度も遭遇してきているので、座右の銘であり、人材ビジネスをしていくうえでの事業ビジョンにもなっています。一つひとつ大事にするという気持ちもこめて使っています。

象る本

 icon-bookアルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア) 』

鎌田さんの愛読書で、それを知って3年前に読んだ本です。ブラジルの作家の本で、少年がいろんな壁にぶつかりながら、人生が開かれるという旅をする、自分を信じて挑戦しようという本なのですが、衝撃的で7回くらい読み返しています。実は「私の履歴書」でカルロス・ゴーンがこの書について触れていて、我が意を得た感もありました。
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 icon-pencil 取材を終えて―編集後記―

会社の立ち上げから軌道に乗るまでをリアルに体験し、それを後から振り返り、自身の糧にしてこられた感じが言葉の間からにじみ出ていました。「 やらなきゃいけないことを進めてきた 」というフレーズがありますが、好き嫌いを問わず「やらなきゃいけなかった」ものが、結果的に自身の強みになっている姿は、どんな職種、どんなポジションでも共通するもののように思いました。さらにそれをハイレベルで信頼できる仲間と進めてきたこと、その極意をまだ今後も引き出していきたいと思っています。